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プロローグ

森に行きたい。

 

どうしてその時にそう思ったのかは今でもよく分かりません。
しかしそう思い立った僕は、早朝にもかかわらずクルマをとある場所へ走らせました。
すでに2時間は走ったでしょうか。
目的地に着くと辺りはうっすらと霧がかってきました。
クルマを停め鬱蒼とした森の中に一歩足を踏み入れると、
僕は何かに優しく導かれているような気持ちになりました。
少しひんやりとした静かな森の中をしばらく歩き続けると、
木々の隙間から射しこむ僅かな光に照らされた、
今ではすっかり廃墟となってしまった旧い洋館を見つけました。
導かれるまま僕は大きく重い扉を開け、
その建物の中へと入ったのです。

 

中に入ると直ぐに高い天井の大きなホールがありました。
辺りを見回すとアンティークな雰囲気のソファや
立派だったであろうテーブルは既に朽ち果てています。
ひび割れた窓から入る明かりを頼りに、
一歩一歩部屋の奥へと進んでいくと、
その先に何かが置かれていることに気付きました。
時を刻む事を忘れた大きな時計の下に
ポツンと置かれてあったのは、
青く錆びついた一台のカメラと
埃まみれになった一枚の写真でした。

 

誰なんだろう…….

 

その中に写る女性は一体誰なのか。

 

そして後に、僕はその女性を知ることになるのです。

 

この物語の続きは、来週の月曜日に。

 

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